前々回の記事でも触れましたが、今回のライブで「意外にも」一番よかったのは、ウェインショーターでした。
いや、そりゃあね、若い時に比べれば音数も少ないですよ。
8分音符のフレーズなんてほとんどないし。(これは昔からそうかな!?)
ロングトーンか、スケールの上行下行。
フラフラッとソロに入ったかと思ったら、いつの間にかやめちゃったり、ハンコック先生のソロのはずなのに横でヒョロヒョロ吹いてたり、メリハリないことこのうえないパフォーマンスだったんですけどね…。
じゃあ何で一番よかったのかというと、背筋にビクンと来る瞬間を何度も何度も味わわせてくれたから。
それはもう理屈じゃなくてね…。
きっと、強烈に心に訴える何かがあったんだと思います。
いわゆるツボにはまった、というやつなんでしょう、やられました!
特に、あのソプラノ(サックス)には参りました。
何年経っても、あの音は変わらないんですね。
微妙な音程のふらつき、意表をつくロングトーン…。
「ああそういえば、ウェザーリポートの”In a Silent Way”も、VSOPクインテットの”Eye of the Hurricane”も、この人のソプラノだったんだよなあ」
そんなことを考えながら聴いてたら、自然に涙が出てきました。
ジャズって、饒舌だけどインパクトのない演奏より、口べたでもグッと来る演奏の方が、断然おもしろいですよね。
何かそういうことをあらためて教えてもらったような気がしました。
昔、彼の演奏を「黒魔術的」とか「呪術的」とか言ってた評論家がいたことを思い出しましたが、今でもその不思議な魅力は健在です。
長生きしてもらいたいなあ!
ウェインショーター先生、どうもありがとうございました!
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